アマゾンのレビューに無茶苦茶書くのは勘弁してちょうだい。

アマゾンのレビュー、かなりひどいんだ。まあ、レビューを書いてる人は、その本を読まないといけない人であって、本を書いている人が先生だとすれば、生徒にあたる。つまり、生徒が先生を批評しているような形になるので、まともに内容の評価が出来るはずないと言ってみればそうなんだけど、それにしてもひどいんだ。

たとえば私の著書やね本2、正式名称「Windowsプロフェッショナルゲームプログラミング2」(ISBN:4798006033)について見てみると、


トレードオフを正しく評価できる人向け,

なんでタイトルのレビューがあって、中身を見ると、どうも、この人はやね本2で解説しているsoftware packed add(擬似的にpacked演算を実現する)を指して言っているようだ。さらに読み進めると..


それぞれのトピックスについて言うとウィンドウズAPIやMMXテクノロ
の様なビットパケット処理機能を代替する類の内容であり(つまりこの本に寄
らなくてもウィンドウズやライブラリ標準の機能で実装できることが多い)、
APIコールとライブラリコールのメモリ使用量および消費CPUタイムについて、
またはペンティアムの通常/MMXモード切り替えに伴うトレードオフ
評価できるだけの能力を持った“プロフェッショナル”向けの印象を受けた。

WindowsAPIて、BitBltでadd colorは出来ないし、MMXテクノロジで可変長のpacked addは出来ない。DirectXOpenGLを使って3Dの機能でadd colorするというならわからないでもないが、どうもそのことではないような感じだ。*1 GDI+のことか?

ついでに言うなら、MMXモードとの切り替えに伴うコストがうんぬんとあるが、おそらくemmsのことを指しているのだと思うが(PentiumMMXへの切り替えコストなど存在しない)、add colorする関数を抜けるたびにemmsするような馬鹿なことは誰もしない。blter(転送ルーチン)の終了の時にemmsを実行するだけである。浮動小数点を使わない限りはそれでいい。ということで、MMXで書いていいならばMMXで書くのが速いに決まってる。トレードオフでも何でもない。ただ、可変長のpacked演算が出来ないからMMXを使う場合でも結局software packed演算が必要になってくるのだが。

他の人のレビューも見てみよう。


構成、各章の内容が中途半端なため、
初心者が読むには癖がありすぎて参考になりませんし、
ある程度経験がある人ならこの本を読む必要がありません。

なんて書いてやがる。まあ、お釈迦さまのように寛大な心を持つやねうらお(ただしそう思っているのは自分のみ)は、前2行は許してやるとしよう。しかし、最後の「ある程度経験がある人ならこの本を読む必要がありません。」はいかんだろ。まるであたかも自分が「ある程度経験がある人」だと言いたげだが、この人がアマゾンで買っている本は結城先生のJavaの入門書とかそんなのだ。だとすれば、ひどい言いがかりだ。そもそも、たとえばやね本2でとりあげたゲームのタスクシステムについてだが、他のどの本に詳しく載ってると言うんだろうか。*2 本当にそういった知識をある程度できるプログラマならば誰でも知ってることだと言えるんだろうか。

まあ、いいや。ここに登場いただいたお二人に別に怨みがあるわけでも何でもないので、これくらいにしておこう。的確なレビューをするのは大変なんですよという話だ。また、こういうレビューを見ると、こういう人たちにも良さがわかってもらえるように配慮しないといけないんだなぁ、と自分自身反省したりもする。

そんな感じで初心者の人*3にとんでもないコメントをつけられていい迷惑しているやね本1,2だが、出版社のほう、そろそろ在庫が無いらしい。増刷すればいいんだが、担当のプッシュだけでは上層部は増刷に踏み切れないらしい。せっかくだから、いろいろ書き足して*4やね本1,2の合体本を出そうかとか考えたりもしている。

*1:言うまでもなくビデオカードアクセラレーションに頼れるならそっちのほうがよっぽど速い。それはadd colorの速度がうんぬんとか言う問題ではなくて、ビデオメモリ内で転送が完結するなら、システムメモリを変にこねくり回すより速いのは当然だと思うのだが。

*2:ある人から、ずーっと昔に元ナムコの人が書いた本に載っているとかいう話を教えてもらったが、とっくの昔に絶版になっているようで入手すらできない。

*3:後者の人と違って前者の人はすぶの素人だとは思わないが、技術的見地から見ても少し見当はずれなコメントだと言う感じはする。

*4:3Dを使った2D描画とかについても書かないとね。