世界一のスコアラーが語るThe Slayersの魅力


iPhoneの「The Slayers」というゲームなのだが、ようやく私はHardモード、Hell Tourともに世界一のスコアラーになった。そこで、世界一になるまでの軌跡とともに、このゲームの面白さを語ってみたい。



私が世界一になるまでに費やした時間はおおよそ70時間程度だと思う。1日10時間ずつやっていたなら7日間。そこで、以下の記事では7日間にわけて、私が日々発見したことを書いていく。うまく、このゲームの面白さを伝わればいいのだけど…。


なお、この記事は当初AppBankさん(→ http://www.appbank.net/ )に寄稿しようかと思っていたのですが、AppBankさんの記事に見合うクオリティになっているのか怪しかったのでボツになるのも嫌だし自分のブログに書くことにしました。あしからず御了承ください。

1日目 ゲームオーバーにならないゲームシステム


このゲームはジャンル的には、ライン型RTS(リアルタイムストラテジー)に属する。



ここで言うライン型というのは、「直線のように横に長い画面で」というぐらいの意味で、RTSは「ターン制ではなく、リアルタイムに敵と味方とで戦う」ぐらいの意味だ。


このゲームは、RTSとしてはかなり原型に近く、とてもシンプルなのだが、RTSの醍醐味は十分堪能できると思う。


味方は左端の城から出現して右側に向かう。敵は右端の城から出現して左側に向かう。そして敵と味方がぶつかるところで戦いが始まる。



そして、自軍が敵の城の前まで到達すると、その城を攻撃して敵の城にダメージを与えることが出来る。敵の城を先に破壊すれば勝ち。


簡単に言うとこのゲームはこれだけのゲームだ。


しかし、このゲームには他のRTSゲームには無い大きな特徴がある。
それは、ゲームオーバーもステージセレクトも無いということだ。


味方の城が侵略されれば、そのステージはそれで一応は終わる。しかしこれはゲームオーバーではない。
倒した敵の数に応じて報酬(Gold)はもらえる。その報酬によって味方を強化できる。


また、ステージをクリアしたときは、次のステージに進む。その結果、敵が少し強くなる。


どうやら、倒した敵の数に応じた報酬がもらえるようなので短い時間でクリアしてしまうと倒せる敵の数も少なく、それゆえもらえる報酬もわずかで、味方のユニットをあまり強化できない。


その結果、速攻でクリアし続けると次第に味方のユニットは敵のユニットより弱い状態になる。しかし、あまりにも弱いとステージクリア出来なくなる。クリアできないとステージは進まず、報酬だけがもらえるので味方を強化できる。あるいはクリア出来たとしてもクリアに時間がかかるので、その分だけ報酬が増える。



このように、敵のユニット(兵士)と味方のユニットとの力関係は、このシステムにより自動的にバランスが取れるようになっている。


だから、どんな達人プレイヤーがやったとしても、敵が弱すぎるとか敵が強すぎるとかそういうことはまずありえない。必ず自分の腕にぴったり応じた敵の強さになる。


これがこのゲームシステムの面白いところだ。

2日目 インフレーションするスコア


ゲームのシステムはわかったので、冷やかし半分に他のスコアラーの記録を見てみて驚いた。


上位スコアラーのスコアは自分のスコアとは桁が2桁ほど違うのだ。


理由はすぐにわかる。このゲームでは、もらえる報酬も得られるスコアもステージが進むごとにゆるやかにインフレして行くのだ。


味方のユニットの強化に必要なGoldがユニットのLv.(レベル)が1増えるごとにいくらかあがる。その上昇率から計算すると、だいたい125 Lv.あがると倍のGoldが必要になる計算になる。



ユニットのLv.は現在のステージ数×1.25まで強化できるようなので、おそらく100ステージ進むとスコアやGoldが2倍得られるのではないかと予想がつく。


ともかく、ハイスコアを狙うにはステージをなるべく早くクリアしなければならないことがわかった。


どこかでわざとステージクリアをゆっくり時間をかけて(ゆっくりクリアするのにもかなりのテクニックが必要なのだが)、Goldをたくさん獲得して味方を一気に強化したいのだが、「100ステージ先ならその倍もらえるのか…」と考えると、もう少し我慢しようと思ってしまう。


その結果、クリアできるぎりぎりの戦力でステージに挑み続ける。なるべく弱いユニットで攻略できるように攻略を考える。


これがとても面白いのだ。だから、もし私がハイスコア争いを早い段階で放棄してしまっていたなら、このゲームの魅力は全く理解できないまま終わっていただろう。


ゆっくり時間をかけてステージをクリアしてしまうと、もらえる報酬は多く、味方のユニットをそのステージで強化できる最大のところまで強化できるので、次のステージを楽々クリアできてしまうからだ。そうなるとこれはただただ単調で平坦なゲームとなってしまう。


この点においてこのゲームはもっと作りこまれていたほうがいいとは思う。「これがこうなっていればすごく面白いのになぁ、ああ、惜しいなぁ」なんてことを私は何度も考えながらプレーしていた。

3日目 タコ殴りを覚える


敵と味方がぶつかるところを私はFL(front-line:最前線)と呼ぶことにした。


FLでの戦いが終わるまで(どちらかの兵が居なくなるまで)敵も味方もそれ以上先には進めない。



また、ユニットによってRANGE(攻撃できる範囲)が違うということだ。RANGEが長いユニットは、後衛で、FLの後方に位置しているので、FLでの戦いが起きている間は敵からの攻撃を受けない。


あと、ユニットには、melee unitとrange unitとの二種類がある。前者は単一の敵にしか攻撃できない非範囲型だが、後者は範囲攻撃を行なうので、1回の打撃で攻撃範囲に居る敵すべてにダメージを与える。



基本的にはFLでは味方のほうが敵より多いほうがいい。例えば、味方1体 vs 敵5体で戦ったら、自分が1回殴る間に相手からは5回殴られる。これでは割りに合わない。タコ殴りされてしまう。


ゆえに、味方のユニットを生成せず、敵を自分の城まで引きつけてから、味方のユニットを一気に生成して、徐々に右側にFLを押していく作戦が考えられる。こうすれば、最初、敵は1体ずつ生成されてやってくるのに対して、自軍はいきなり6体ほど生成できるので、FLでは敵をタコ殴りできる


この「タコ殴り」という考え方は、他のFLがあるタイプのRTS型のゲームでも共通して使える考えかたなのだと思うが、私は恥ずかしながら、「タコ殴り」の優位性を最初理解していなかった。このゲームで初めてそういう戦略が有効なのだと気づいた。


このように一つのゲームをある程度やり込むと他のゲームでも通用する知識が得られることがある。いろんなゲームをやりこむだけの時間は我々には与えられていないが、自分の気に入ったゲームをただひたすらやり込むことによって得られるものも確かにあるのだ。

4日目 最強のユニットを活用せよ


このゲームのなかで最強のユニットは主人公だ。
主人公(Hero)はrange unit(範囲攻撃型)だし、プレイヤーの操作で自由に移動できる。


自由に移動できるということは、FLに関係なく移動して敵を攻撃できるということである。
FL付近に溜まっている敵を一掃することもたやすい。


主人公は、HPがなくなると死ぬが、10秒ほどで生き返る。


また、主人公は剣を素早く何度も振れる。(剣を振るごとに範囲内に居る敵にダメージを与えられる。) この点においても他のユニットとは比較にもならない。


つまり、主人公は間違いなく最強のユニットだ。
剣の振りの速さを考慮すると、通常のユニット10〜20体分ぐらいに相当するだろう。


短時間ステージクリアを狙う場合、主人公の能力を一時的に強化できる魔法を持つ主人公を選択したほうが有利だと思われる。


ゲーム開始時に選択できるのはgood(善良)かevil(邪悪)かだ。


good側であれば、Gladiatorを選択すればEnchantという主人公を一定時間強化する魔法が使える。
evil側ならOverlordを選択すればFrenzyという同等の魔法が使える。



この魔法Lv.をどこまで上げられるかだが、後者は強化はLv.100までで、strength 55%upにまであがる。前者もたぶん同様ではないかと思う。


どうも、このゲームは何%とパーセント表記で書いてある魔法はLv.100が上限でそれ以上Lv.は上げられないようだ。(ただし城の耐久度だけは別。) 909 damage to enemiesのように具体的なダメージ値が書いてある魔法のLv.は、上限が主人公と同じLv.まで(stage×1.25)上げられるようだ。


短時間ステージクリアを狙おうとすると、徐々に金欠になるので他の魔法を強化する余裕がないし、そもそも魔法は同時に使えないので、強化するのはひとつで十分だ。(複数同時に使えると面白いと思うのだが…)


最初、私はGladiatorでHeal(味方のHP回復)を使ってFLをゆっくり押していくのがいいのかと思ったのだが、この攻略方法だとHeal自体も際限なく強化しないといけないため、stage 100を超えたあたりから徐々に金欠になるのだ。


だからもし私がこのゲームをstage 60ぐらいでやめていたなら「Heal最強すぎだろwww」でこのゲームの面白さに気づかず、ぬるく単調なゲームという認識のまま終わっていたかも知れない。


ともかく、主人公は6キャラから選べるので、私が言うことを鵜呑みにせず、一通りやってみてから考えてもらいたい。

5日目 弱いユニットでクリアする


いかに弱いユニットでステージをクリア出来るかというのが最大の課題だとわかったので、いくつかのテクニックを紹介しておこう。


例えば、次図のような位置関係(敵の足元を剣先で切るような位置関係)だと主人公は敵の攻撃は受けずに一方的にダメージを与えることが出来る。(敵にダメージを与えているときは血しぶきみたいなエフェクトがあるのでそれを見ればダメージを与えられているかどうかはわかる。)



また、敵が攻撃した直後に回りこめば、次の攻撃の間までは攻撃を受けない。このようにキャラクターごとの細かな攻撃範囲、当たり判定を理解していると戦局を有利に進められる。スト2で当たり判定、攻撃範囲を正確に理解していれば試合を有利に進められるのに似ている。


このような細かいテクニックを駆使してなるべく弱いユニットで速攻でクリアしていく。
最初、私は1ステージ3分程度でクリアしていた。かなりいいペースだ。


これなら10時間あれば200ステージ進める。200ステージ進めばスコア効率は4倍になる。これならあと1日あれば世界スコアは楽勝だなと思った。


しかし、その考えは大変甘かった。


次第に1ステージに要する時間が長くなってきたのだ。


味方のユニットを生成できる速度は決まっている。生成したあと一定時間、同じユニットは生成できないからだ。また、敵も同じように一定間隔ごとにユニットを生成してくる。


FLでは敵と味方のユニットとがぶつかる。ここで互いに削りあうので戦力の引き算が行われるとイメージすればわかりやすいと思う。


わずかでも戦力に差があれば、時間とともにこちらの兵力が足りなくなってくる。兵力が2:3のようにバランスが崩れている状態だとタコ殴り状態にも似て、こちらだけ減りが早い。


FL付近に溜まっている敵は主人公をうまく動かせばある程度掃除はできるのだが、こちらの兵士が相当減らされているので、FLをなかなか押していくことが出来ない。


つまり、戦力にわずかな差があると、その差は拡大して投影され、クリアタイムに大きな影響を及ぼすのだ。


私はstage 300あたりでいままで強化していないユニットも強化してみようと思い、5ステージだけそれらのユニットだけを強化した。そうすると、ステージクリアタイムはいままで5分程度だったものが10分になり15分になり、5ステージ目では25分になった。目に見えて時間がかかるようになった。これはまずいと思った。


微妙なところでギリギリのバランスをとりながらゲームを進行させていたのに、わずかであれ、無駄にGoldを使ったためそのバランスが一気に崩れたのだ。


だから、ゲーム自体は単調な繰り返しのようでいて、絶えず私は緊張の中にあった。


そのことは十分理解してもらえると思う。


300ステージ以上をこなしてからわかったことだが、FLのすぐ横で戦うことになる前衛職(RANGEの短いユニット)だけ強化して、後衛はあまり強化するべきではない。(後衛は、前衛が残っている限りはダメージを受けないので)


また、主人公のLv.はstage×0.8〜1.0ぐらいのところで強化やめておく。それ以上強化すると前衛を強化するGoldが足りなくなる。というか私は足りなくなった。


他にもゲーム攻略上で書いておいたほうがいいことはたくさんあるのだが、このゲームは先にも書いたようにゆるやかにインフレしていくゲームなので、あとでいくらでも取り返しは利くのである。Goldを無駄遣いしてしまったと後悔する必要は全くない。そのあと100ステージ進めば、単位時間あたり2倍のGoldが入ってくるのだし間違えて配分しても全然構わない。


だから、これ以上はあえて詳しい攻略は書かない。プレイして自ら発見して欲しい。
その楽しみをこれ以上奪うような真似は私はしたくない。

6日目 わざとゆっくりクリアする


味方のユニットが弱すぎるときにあえてクリア時間を伸ばして報酬のGoldを増やすというテクニックが考えられる。


ステージクリアに失敗してもGoldは倒した敵の数に応じてもらえるのでそんなことをしなくても良さそうに思えるが、そうでもないのだ。


ステージクリアに失敗するということは、最後に出てきた敵は倒せずに画面上に残ったまま終わるわけで、倒せない敵が居た時間だけ時間をロスしている。また、ゲームが始まってすぐに敵が最大速度で生成され続けるわけでもないのでその意味でも時間をロスしている。


だから、最大速度で生成され続ける敵を長時間倒し続けたいのだ。


これはある程度こちらの戦力が優っていればそう難しくはないのだが、戦力が微差だととても難しい。


まずFLは次図のように右端にするのがいいだろう。



右端にFLがあると、敵の後衛は(配置する空間がないので)前衛と同じところに生成せざるを得ない。そうすると、こちらの前衛・後衛から直接敵の後衛に攻撃が当たるのである。


こうしておけば、主人公はそれほど頑張らなくともいい。主人公の剣を振るために指でボタン(画面上に表示されているボタン)を連打し続けると指が疲れるので、これは助かる。


そして味方のユニットを適度に生成しながら、主人公はあまり頑張らずに敵を適度に減らすだけで良い。FLが移動せず均衡が保てるようにうまくバランスを取り続ける。


簡単に言うとそれだけなのだが、これがとても難しい。難しい原因は次の通りだ。


まずは、FLが右端なので、生成した味方のユニット(左端に出現する)がそこに到着するまでに相当のタイムラグ(10秒ぐらい)があるということだ。つまり、10秒後の戦力状況を予測して、それに応じてユニットを生成しなければならない。


この予測してという部分が、ステージごとに互いの戦力が微妙に変化しつづけるし、先に書いたように微妙な戦力格差が大きく戦況に投影されるゲームなので、この微妙な変化すら無視できない。


それから敵の生成されるユニットの種類がランダムだということもある。この意味において予測不可能なのだ。


しかし画面上の赤いドット(これが敵の位置を表す)を見ながら主人公が適度に敵をなぎ倒してうまく調整すれば、均衡がとれる。


ギリギリの戦力で戦っていると、これが単にクリアするより格段に難しいのだが、やってやれないことはない。そして、これがとても面白い。「こういうゲームだったら良かったのに…」と思わずにはいられない。


このように自分でいろんな縛りを入れれば、いろんな遊び方が出来る。それだけに、もっと作り手側でクエスト的なものを用意しておいてもらえればもっと遊べるのにと残念に思ったりもするのだが。

7日目 Hell Tourへの挑戦


Hardモードは、そこまでのトータルのスコアでハイスコアを競う。
しかし、Hell Tourでは1ステージのみのスコアでハイスコアを競う。


私は最初Hell Tourはクリア出来ないものとばかり思っていた。敵が強すぎるのだ。
しかし、ある時、弱いユニットでもクリアできることがわかった。


その攻略方法はここには書かないことにする。これはプレイヤー自らの手で見つけて欲しい。


Hell Tourでハイスコアを出すためのポイントは、やはりわざとステージのプレー時間を長くすることだ。これが超絶難しい。


難しい理由はさきほど書いた「わざとゆっくりクリアする」のが難しい理由と同じものだが、Hell Tourは、敵が格段に強い(時間経過とともに同じユニットでもLv.が高いものが出てきているようだ)のでバランスを取るために調整するような余裕がほとんど無いのだ。持ちこたえるだけでも精一杯だ。わざと手を抜かなくともクリアすら出来ない。


そこで私はHell Tourのプレー時間引き伸ばし作戦は諦めて、まず、ひたすら先のステージまで進めることにした。


私は最初、右手の親指でボタンを連打していたが、指の関節が炎症を起こし赤く腫れ上がった。仕方ないのでiPhoneを机に置き、人差し指で連打することにした。人差し指も次第に痙攣し感覚が無くなってきたので、中指、薬指、小指も使うようにした。しかし小指も痺れて感覚が無くなってきたので今度はiPhoneを180度回転させ、左手の指で連打するようにした。日々10時間ぐらい連打し続けるだけでもなかなかきついものがある。


ともかく、私は様々なテクニックを投入し、弱いユニットのままひたすらステージを先に進めることに成功し、点数効率の面で優位に立ち、ついに私はHell Tourでも世界一位になった。


しかし達成感や満足感はそこには無かった。


これではHell Tourを本当に攻略したとは言えない。こんな弱い兵力では勝った気がしない。兵力をとことんまで強化し、Hell Tourの敵が本当にどこまでも強くなるのかを確かめたい。Hell Tourの敵と長い時間、互角に渡り合ってみたい。


これまで私は弱いユニットのまま歩んできた。


味方のユニットにもし魂があるなら「俺たちにGoldをもっと投資してくれ」と不平を漏らしていることだろう。ステージを進めるごとに強くなるどころか敵と相対的に見れば彼らは弱くなり続けた。それは私のせいだ。私は味方のユニットに払うべきGoldを払ってやれていないという借金状態なのだ。どこかでこの借りを返してやらねばなるまい。


そう。私の戦いはまだ始まったばかりなのだ…。



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