前提が偽の場合、式値は真


ある会社の経理担当と「中小企業の会計に関する指針」の適用に関するチェックリスト*1のことで大喧嘩である。


「営業上の債権のうち破産債権等で1年以内に弁済を受けることができないものがある場合、これを投資その他の資産の部に表示したか。」という確認事項があって、○か×かでチェックを入れなければならない。


その会社には「営業上の債権のうち破産債権等で1年以内に弁済を受けることができないもの」が無かった。


元の文章は、
前提P : 「営業上の債権のうち破産債権等で1年以内に弁済を受けることができないものがある」
結論Q : 「これを投資その他の資産の部に表示したか。」
で、P→Qの式値を○(真),×(偽)で答えよという論理学の問題だと私は解釈したので、今回のように前提Pが偽ならば、この式値は当然、○(真)である。


だからここは「○」にするのが正しいと私はその会社の経理担当に言った。


そうすると、「あなた、日本語わからないんですか。表示したか?と訊ねられていて、ここを○にすると表示したことになってしまいますよ!」と。今回の場合、前提が偽だから、式値は真になるという説明をしても、一向にわかってもらえない。もうこの時点で何かすでに相手は喧嘩腰である。相手は狂った鶏のように原文を何度も読み上げて「債権の意味わかってますか?」「弁済の意味わかってますか?」と私に詰問するが、そんなことが問題なのではないということが全くわかってもらえない。


本当は、このチェックシートは該当無しか、○か×の三択で答えるように作成してあるべきなんだろうけども、まあ○,×で答えるなら上のケースならどう考えても「○」だよなぁと思うのだけど、これは世間の人の常識に反するのだろうか…。「明日晴れてたら行きます」と約束して、当日、雨が降ってたので行かなかったからと言って約束を破ったことにはならないのと同じ理屈なのだが。


侃々諤々、喧々囂々の議論の末、挙げ句、私はその人からクルクルパーの三流の馬鹿田大学卒の日本語のわからない国語能力ゼロのキチガイ扱いである。相手は「こっちは親切で教えてやってるのに!あんたみたいな阿呆とはもう仕事を一緒にやりたくない!」と言ってどこかに行ってしまった。


そもそも、私はどうすれば良かったのだろうか…。(´ω`)


■ 追記(2009/9/27)


日本語の「場合」という言葉に「∩」(論理AND)の意味があるかどうかについてコメント欄で議論がされているが、私は、「場合」という言葉には、そんな意味はないと思う。


しかし、会社の社長が社員に「我が社は、現在、大変な危機に瀕しているので、社員一同、頑張っていただきたい」のように言ったら、「大変な危機に瀕していなければ、頑張らなくていい」ことにはならないし、それについては論理学的には何も言及はしていることにはならないのだが、しかし「大変な危機に瀕していなくても、みんな頑張ってよね」という気持ちは当然あるので、そういう気持ちは伝わるだろう。


つまり、これは日本語の問題ではなく、「pの場合にq」という論理で何かを伝えたときに、論理学的にはpが成り立たない場合については何も言及していることにはならないが、しかし受け手は何かそれ以上のものを受け取る(あるいは受け取らなければならない)ということに起因する問題なのではないかと思う。


■ 追記(2009/10/1)


コメント欄の議論が読み物としてつまらない流れだったので一部の流れをざっくり削除しました。言いたいことがある人は自分のブログに書いてトラックバックをどうぞ。