第18回世界コンピュータ将棋選手権 中継


第18回世界コンピュータ将棋選手権
http://homepage.mac.com/junichi_takada/wcsc18/


戦績などは上のサイトでリアルタイムに確認できる。対局が終了したものだけではなく対局中のものも棋譜も確認出来る。素晴らしい!


コンピュータ将棋選手権ネット中継
http://computer-shogi-live.cocolog-nifty.com/


さらに、ライブで動画がリアルタイムに。



■ 一次予選(5月3日)


今日の注目株は、


FPGA化された思考エンジン「A級リーグ指し手1号」
PS3を用いた「dos


だろうか。


■■ A級リーグ指し手1号


序盤の定跡部はうさぴょんを用いているらしい。
総合的な棋力ではうさぴょんよりは若干弱いと思う。
FPGAで動いていること自体が奇跡なので、今後に注目したい。


A級リーグ指し手1号
http://aleag.cocolog-nifty.com/


■■ dos


定跡外しのための作戦なのだろうけど、毎回、角道を開けない中飛車でのスタート。たいてい10手目ぐらいのところでdosが敗勢になるのだが、一次予選のソフトにそこから勝ちきる地力がないせいか、中盤で逆転してdosが勝ってしまう。


■■ うさぴょん


一次予選 3回戦 うさぴょん - HIT将棋では43手目でうさぴょん側の反則負け。通信トラブルか?駒組みが終わった段階だが、うさぴょん側有利だったのでもったいない。


うさぴょん Official HomePage
http://homepage1.nifty.com/Ike/usapyon/


■■ マイムーブと習甦との直接対決


一次予選で強いのはマイムーブと習甦しゅうそ


マイムーブの作者は安田女子大学講師の西村 則久さん。
習甦の作者は九州工業大学の竹内 章さん。(初参加)


マイムーブと習甦との直接対決は、習甦の鮮やかな序盤・中盤で一気に勝ちかと思えたが、習甦が攻め急いだため(?)逆転。入玉模様になってまだマイムーブ優勢だったのにマイムーブは時間が切迫していたためか寄せ損なって、マイムーブの時間切れ負け。


マイムーブ
http://chocobo.yasuda-u.ac.jp/~nisimura/mymove/


■■ 1次予選終了


1位 -- 習甦が7戦全勝優勝。学習、並列探索、df-pnによる詰探索を取り入れているそうです。Bonanzaと互角ぐらいの強さらしいです。*1
2位 -- マイブームが習甦以外には勝ち越して6勝1敗。
3位 -- dosが5勝2敗で3位。意外と奮闘しましたね。面白そうなのであとで棋譜を検討してみます。
4位 -- うさぴょんが同じく5勝2敗で4位。途中の反則負けはもったいなかったですがなんとか1次予選突破しました。
5位 -- A級リーグ指し手1号が、変な(へたくそな?)中盤ながら、8Mnpsの威力を発揮して5勝2敗。やっぱりたくさん先読みすると強いんだなぁと。来年、評価関数をまともにすれば間違いなく優勝候補にあがってくると思います。
6位 -- 山田将棋はベテランの貫禄を見せて(?)無事一次予選通過。
7位 -- みさき。小宮さんの作られてるやつですね。直前まで並列探索がバグってる*2と言っていたので、大丈夫かなぁと思ってみてたら一次予選通過。おめでとうございます。
8位 -- まったりゆうちゃん。農工大小谷研のやつですね。
9位 -- あうあう将棋。「せふせふ将棋」を作って、「⊂ミ⊃^ω^)アウアウ将棋 VS ⊂(^ω^)⊃セフセフ将棋」というのを見てみたい気がする。


今年は一次予選のわりにレベルが高いようです。


■■ 一次予選ハイライト


dos 対 マイムーブ戦

このマイムーブの45桂跳ねに、dosが56角と打った。私の棋力ではこの局面自体の優劣はよくわからない。後手の攻めは軽いが先手が壁銀になっているので後手の仕掛けは成立しているのかも知れない。


実戦は、このあと57角45角68角成同金65飛66歩同飛67金64飛81角成67飛成71馬と進行。先手は81と71の桂と銀を拾えるのでそんなに悪くないようにdosには見えたのかも知れないが、遊んでいる駒を取っても後手陣に響きはないし先手は悪形がたたって自動的に必敗形。56角では悪いながらも54歩と応戦したほうがいいと思う。これに対して同歩には75角。57角からの攻め合いには53歩成同金86角として角筋が受けづらい。


棋譜から察するに、dosはR1800ぐらい。マイムーブはR2100ぐらいではないかと思う。


・マイムーブ戦 対 習甦


怪しげな局面。後手有利に違いないが、受け間違うと一発で逆転する。ここで習甦は54歩。これは先手の飛車の59の金への利きを遮りながら入玉を目指した筋の良い一手だが、これでかなり紛れた気がする。


ここは51歩と催促するのが良いと思う。同飛成なら68成銀42と39銀で、同玉には73からの王手飛車があるので18玉28金同金73角の王手飛車。42飛成には同金同角成に44玉と逃げて寄らない。42角成には同金同飛成22玉69金打に75角79金39角打。以下、38玉には46桂同銀(同歩は47金から詰み)に28金37玉としてから42角と飛車を外せば先手玉に28金からの詰めろがかかるので先手勝ち。38玉に代えて18玉なら25桂の詰めろが受け辛く、42に角が利いているので後手は詰まない形。


棋譜から察するに習甦はR2400ぐらいだと思う。


■ 二次予選(5月4日)


いよいよBonanza登場。マシンはリアルコンピューティング*3からの借り物?

習甦の作者インタビューが「10倍楽しむHP」(http://homepage1.nifty.com/ta_ito/CS2008/WCSC08.html)のほうに。

 <<緊急「習甦」作者インタビュー>>
  9:55 初日全勝で一次予選を突破した「習甦(しゅうそ)」の作者にインタビューをしてきました。

 Q.開発のきっかけは?
 A.以前から興味はあったが、本格的に作る気になったのは、「Bonanza」の出現から。コンピュータ将棋のプログラムは一人で
  は難しいかと思っていたが、Bonanzaの出現で一人でもできるかと思うようになった。
 Q.習甦の特徴は?
 A.Bonanzaの評価関数の学習という手法に興味を覚え、学習型のプログラム。ただ、パラメータの設定などは、Bonanzaとは
  異なり、独自のものを用いている。
 Q.開発期間は?
 A.以前から興味を持っていたので、正確には記憶していないが、約1年。昨年の6月頃には、徐々にまともに動くようになって
  きた。
 Q.苦労した点は?
 A.やっぱり学習。なかなか思うように学習してくれない。
 Q.探索の深さは?
 A.序盤は最大14手ぐらい先まで読んでいる。終盤は、(合法手が増えるので)7手ぐらいまでになる。
 Q.日ごろは市販ソフトなどと対戦しているか?
 A.Bonanzaとはよく対戦している。さすがに勝ち越せないが、時々一発入ることがある。
 Q.今大会の目標は?
 A.何とか決勝に進出したいと思っているが、わからない。でも昨日好成績が残せたので期待している。
 Q.「習甦」の名前の由来は?
 A.「SHogi Using Evaluation function Swarm Optimizer」の当て字。文字の中に含まれている「羽生」さんに「白」星をという夢も込められている。


■■ 二次予選ハイライト

・マイムーブ vs 大槻将棋

後手の大槻将棋が54銀と出た局面。次の55銀〜66銀があるので先手は石田流に組めないっぽい。(私の棋力ではよくわからない) ひょっとしてすでに後手が一本取った局面なのだろうか。マイムーブは隙ありと見て74歩と行ったが、同歩同飛のあと86歩同歩同飛のときに次の87飛成が受からずこれは後手良し。大槻将棋は序盤がうまいと思った。ちなみに大槻将棋はR2680*4だそうです。


■■ 二次予選結果


Bonanzaは大槻将棋に惜しくも負けたものの8勝1敗。


01 8-1 Bonanza
02 7-2 柿木将棋
03 7-2 備後将棋
04 6-3 大槻将棋
05 6-3 奈良将棋

                                                          • -

06 5-3-1 棋理
07 5-4 習甦
08 4-3-2 竜の卵
09 5-4 GPS将棋
10 5-4 TACOS
11 5-4 K-Shogi
12 5-4 SPEAR
13 4-5 みさき
14 4-5 マイムーブ
15 3-4-2 A級リーグ指し手1号
16 4-5 きのあ将棋
17 4-5 Shotest
18 4-5 うさぴょん
19 3-5-1 あやまり将棋
20 3-6 WILDCAT
21 2-7 あうあう将棋
22 1-6-2 まったりゆうちゃん
23 2-7 山田将棋
24 2-7 dos


習甦は途中、バグでフリーズしたので実力的にはもう少し上なのかも知れない。今年の二次通過レベルはR2400付近。優勝争いはR2800付近か?


■ 5月5日決勝


01 6-1 激指
02 6-1 棚瀬将棋
03 4-3 Bonanza
04 4-3 YSS
05 4-3 備後将棋
06 3-4 大槻将棋
07 1-6 奈良将棋
08 0-7 柿木将棋


一次予選で全勝優勝した習甦が二次予選突破すら出来ない。二次予選で準優勝の柿木将棋が決勝は全敗。去年優勝したR2800はあるはずのYSSが決勝では4位になってしまい来年のシード権すら獲得出来ない。ドラゴンボールの世界かと思た


エキシビションで優勝ソフトと準優勝ソフトの激指がトップアマと対決。結果、コンピュータソフトの二連勝。まだまだ課題の多いコンピュータ将棋の指し回しだが、将棋の終盤は人間には難しいので時間の短い戦いでは勝ちきるのはなかなか大変のようだ。それでも、まだ少なくとも10年ぐらいはアマトップに勝ったり負けたりの状況が続くと思われる。


開始日時:2008/05/05(月) 16:58:53
終了日時:2008/05/05(月) 17:35:23
先手:棚瀬将棋
後手:加藤幸男

▲2六歩 △8四歩 ▲2五歩 △8五歩 ▲7八金 △3二金
▲2四歩 △同 歩 ▲同 飛 △2三歩 ▲2六飛 △7二銀
▲3八銀 △6四歩 ▲7六歩 △8六歩 ▲同 歩 △同 飛
▲8七歩 △8二飛 ▲5八玉 △6三銀 ▲3六歩 △3四歩
▲3五歩 △同 歩 ▲3七銀 △5四銀 ▲4六銀 △4四角
▲3八金 △2二銀 ▲3四歩 △4二玉 ▲3七桂 △5二金
▲4四角 △同 歩 ▲3五銀 △4三銀 ▲7七桂 △3三歩
▲4六飛 △3四歩 ▲4四銀 △3三銀 ▲4三銀成 △同金左
▲6一角 △3五銀 ▲5二角成 △同 飛 ▲3一銀 △3二玉
▲2二金 △同 銀 ▲同銀成 △同 玉 ▲4三飛成 △4二金
▲3四龍 △3三金 ▲3五龍 △3四銀 ▲同 龍 △同 金
▲4三銀 △3六歩 ▲5二銀不成△3七歩成 ▲3二金 △同 玉
▲4三銀打 △3三玉 ▲3二飛
まで75手で先手の勝ち


エキシビションマッチでは加藤幸男アマと棚瀬将棋対局。棚瀬将棋の先手番。相掛りの後手番は受けにくいせいか、後手のわずかなミスで勝負どころなく終わってしまった。棚瀬将棋の終盤は本当に強い。


清水上徹アマ vs. 激指


開始日時:2008/05/05(月) 17:38:44
終了日時:2008/05/05(月) 18:30:12
先手:清水上徹
後手:激指

▲7六歩 △8四歩 ▲6六歩 △3四歩 ▲6八飛 △6二銀
▲1六歩 △4二玉 ▲7八銀 △3二玉 ▲3八銀 △5四歩
▲6七銀 △5二金右 ▲5八金左 △5三銀 ▲4六歩 △7四歩
▲4八玉 △7二飛 ▲3九玉 △7五歩 ▲同 歩 △6四銀
▲7八飛 △7五銀 ▲7六歩 △6四銀 ▲1五歩 △3三角
▲3六歩 △5三銀 ▲3七桂 △4四歩 ▲4七金 △2二玉
▲6五歩 △3二銀 ▲2八玉 △8五歩 ▲7五歩 △4三金
▲6六銀 △8二飛 ▲7六飛 △6四歩 ▲7四歩 △8三飛
▲7七桂 △6五歩 ▲同 桂 △6四銀 ▲2五桂 △4二角
▲4五歩 △2四歩 ▲4四歩 △同 金 ▲7三歩成 △同 桂
▲7五銀 △6六歩 ▲7三桂成 △7五銀 ▲8三成桂 △7六銀
▲6六角 △5五銀 ▲同 角 △同 歩 ▲7四飛 △6四飛
▲7六飛 △2五歩 ▲7三飛成 △6九飛成 ▲5八銀 △9九龍
▲4五歩 △同 金 ▲4三銀 △4八歩 ▲同金引 △2四桂
▲3七銀 △3六桂 ▲同 銀 △同 金 ▲3七歩 △2七金
▲同 玉 △2六香 ▲1七玉 △2七銀 ▲3二銀成 △同 金
▲2三歩 △同 金 ▲3二金 △1二玉
まで100手で後手の勝ち


序盤は激指がかなり悪くしたが終盤で逆転勝ち。激指の序盤は素人目にも不安定な印象を受けた。読みが足りていないのか評価関数が悪いのかは知らないが。