新潮文庫

ずいぶん前に新潮文庫の100冊
http://www.neic.co.jp/pc/x5PRODUCTS/culhobby/titles/shincho/
というCD-ROMが出た。

私は、以前これを購入したのだが、インターフェースが凶悪すぎて使いものにならない。MacWindowsハイブリッド版にするため、DirectorとかQuickTimeとか使ってあるのだが、非常に使いにくいものになっている。ページ位置も原書と異なるので、どの本の何ページ目とか言っても相手に通じない。個人的にはpdf形式でそのままDVDに突っ込んでもらえたほうがよかったような気はしなくもない。テキストのぶっこ抜きツールを自作して、PDA端末のようなもので読めるようにしている人も居るらしいが、確かにそこまで出来れば便利だという気はする。

新潮社はその他、コンテンツのオンライン化に力を入れている。2000年には『CD-ROM版新潮文庫の絶版100冊』というのが発売された。ただ、このソフト自体がすでに“絶版”になっている。そもそも絶版になったあと著作権が失効したようなものは青空文庫で読めるし、このへんの意義自体疑問ではある。

ところで、人間が生涯読める本の冊数は何冊ぐらいなんだろうか?私は大学時代はほとんど授業にも出ず図書館で本を読む毎日であった。漫画も含めると年間2000冊ぐらいは読んだと思う。しかし社会人になってからはそんな気力も時間も無い。現状、1週間に読む本は小説が1冊、漫画本も2、3冊、教科書的な本が1冊、雑誌が1冊、月平均は2,30冊と言ったところである。小説に限って言えば年間でも30冊読めるかどうかの線だ。生涯、まあ、あと30年間こんな生活を続けるとして、30×30=900冊しか読めない計算だ。いま部屋にある小説の数だけでも数千冊あるわけで、いまあるものだけでもとても死ぬまでに読み切れない。実際は今後発売される小説も読みたいものがあるだろうから、読むべき小説をもっと慎重に選ばないといけない。そう考えると、ついつい積ん読になってしまう。あまり良くない傾向だ。

やや余談になるが、コンピュータサイエンスというのは数学とかに較べると非常に歴史の浅い学問だと思う。中身が薄っぺらいのだ。認知科学とか人工知能とか、最先端の分野になればなるほど薄っぺらい。枯れてないという意味もあるのだが。そういう分野に深入りしても系統だった知識を得るのは難しい。NN(ニューラルネット)にせよ、GA(遺伝的アルゴリズム)にせよ、人工生命にせよ、ウェーブレットにせよ、すべてそうだ。その気になれば1日あれば十分理解できるし、1週間もあれば最先端の研究にまで到達できる。しかしその先、その分野をライフワークとするのでなければ、それ以上やるのは不毛だと感じる。

私の場合、学生のころは、そういう判断が出来ずにひたすら興味の赴くままに突っ走った。いま考えてみればずいぶん時間を無駄にしたと思う。もっと枯れている分野の勉強に重点を置くべきだったなぁと後悔している。小説に関しても、同じ過ちはしないように心がけたいと思っているのだが..。